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展示余話・鉄道雑学(4)神戸ステーション物語(その1)

 早いもので、「横浜ステーション物語」というタイトルで企画展示を開催したのが、もう一年も前のことになります。最近は他の大都市の「ステーション物語」がどんなだったかにとても関心が向いております。今回は神戸を取り上げ、久しぶりの鉄道雑学シリーズとして「神戸ステーション物語」をアップすることにしました。
 近代の日本を支えてきた港まちとして、また文化・流行の発信地として何かと横浜と比較されることの多い神戸ですが、鉄道の駅についてもよく似ている点が多々あります。
 神戸を代表する駅は、その名の通りJRの神戸駅です。東海道本線の終点であり、山陽本線の起点です。ただし、神戸駅を始発・終着とする列車は現在はほとんどなく、駅前も閑散としています。神戸のまちをビジネスや観光で訪れて、最初に神戸駅で下車するのは決して正解とは言えません。
 大都市・神戸の実質的な中心駅は二つ隣りの三ノ宮駅で、阪急や阪神などの私鉄、地下鉄などが集まる大ターミナルになっています(JRの駅名のみ「三ノ宮」と表記し、それ以外の鉄道の駅名、および地名としては「三宮」と表記します)。三ノ宮駅は神戸駅よりも圧倒的に多くの乗降客数を誇り、新快速電車が三ノ宮駅に停車して神戸駅を通過していた時代もありました。駅の周辺にはデパートなどの商業施設、ホテル、飲食店が集中し、日本有数の繁華街を形成しています。
 横浜でこの三ノ宮駅に相当するのが横浜駅であり、そして、神戸駅にあたるのが桜木町駅(鉄道創業時の横浜駅)ということになるでしょう。「横浜」という駅名は移動を重ねたのですが、「神戸」という駅の名は都市の中心が移動しても動きませんでした。三ノ宮駅を「神戸」駅に改称しようという意見もありましたが、実現していません(ただし、私鉄が自社の起・終点駅を「神戸」と名乗ったことはありました。例えば、阪急の三宮駅はかつて阪急「神戸」駅でした)。
 また、東海道・山陽新幹線はいずれにおいても在来線の東海道・山陽本線の駅には乗り入れず、それぞれ新神戸駅、新横浜駅が新しく建設されました。ただし、新横浜駅が横浜の都心からとても離れているのに対して、新神戸駅は三宮から地下鉄で一駅です。どちらも当初は主要駅でなく、ほとんどの「ひかり」号の通過駅でしたが、今では全ての「のぞみ」「ひかり」号が停まるようになりました。
 長くなりましたので、では次回、神戸の「ステーション物語」、鉄道の歴史を振り返ってみましょう。(つづく)(岡田直)

by tohatsu | 2009-09-19 15:09 | 展示案内  

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