「横浜実測図」の継ぎ目

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 当館の所蔵資料に「横浜実測図」という地図があります。
 「横浜実測図」は、国の地形図の作成事業が陸軍の陸地測量部(現・国土地理院)に一元化される前、内務省地理局が明治14年に編纂した五千分一の地図です。横浜の他、東京、大阪、神戸でもつくられました。「横浜実測図」は縦が約120センチ、横が約180センチのとても大きな印刷物です。そのため四分割して印刷し、それを貼り合わせていますが、その継ぎ目がぴったりと整合するようにはつくれなかったみたいです。
 残念ながら当館で所蔵しているのは、明治時代に印刷されたオリジナルではなく、後年に(おそらく昭和初期あたり)、明治時代の印刷物を写真原稿にしてつくられた複製(影印)です。先日、個人の方が所蔵している「横浜実測図」を拝見する機会がありましたが、やはりこれも後年の複製(影印)でした。
 何を根拠に判断したかというと、継ぎ目の部分です。
 上の写真は当館所蔵の「横浜実測図」の部分拡大です。現在、横浜開港資料館や象の鼻パークがある辺りです。赤い矢印で示したのが明治時代に印刷されたオリジナルにある継ぎ目、黄色の矢印は複製(影印)をつくった時の継ぎ目です。前者は「継ぎ目」が模様となって印刷されたラインであり、後者は実際に紙を継ぎ合わせたラインです。
 複製(影印)は、明治時代に四分割して印刷されたものを貼り合わせた状態で写真原稿にしたと思われ、継ぎ目の部分がずれたまま製版されたのです。ただ、複製もやはり大き過ぎるためか、四分割して印刷し、それを貼り合わせているのです。
 複製の継ぎ目がオリジナルの継ぎ目と完全に一致すれば、複製であることがわからなくなっていた可能性もありますが、どうやらそうはいきませんでした。
(岡田 直)
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by tohatsu | 2010-06-06 15:00 | 調査余話 | Trackback | Comments(0)  

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