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海から見た横浜を描いた絵巻物

 
先日、岩瀬忠震の日記(『岩瀬鴎所日記』)を期間限定で公開します、
と告知しましたが、今回の特別展(「港をめぐる二都物語 江戸東京と横浜」
では、期間限定で展示する資料がけっこうあります。

そのなかでも見逃していただきたくないのが、チラシ裏面にも載せた
都立中央図書館が所蔵する
海上からの視点で幕末の横浜を描いた絵巻物です。

この資料は、都立中央図書館の特別資料室の東京誌料文庫にはいっている
ものですので、新発見というわけではないのですが、これまでほとんど
紹介されたことがないかと思われます。

どうやってこの資料を見つけたかと言うと……
たまたま東京誌料文庫の目録を見ていたとき、
「〔横浜絵図〕」という
タイトルが目に留まりました。
幕末の横浜の絵図は版行されたものはけっこうありますので、
珍しいものではないだろう、と思ったのですが、
形態が「軸」となっていたのに興味を惹かれて、
見るだけ見てみようかと請求してみたところ、
これまで見たこともない、海上からの視点で神奈川宿から山手までを
描いた絵巻物だったのです。
「絵図」とあるから地図と思っていたのですが……

幕末の江戸を描いた資料は錦絵、泥絵、肉筆画、写真など数多くありますが、
このように海上から横浜を描いた資料というのはほかには知られていない
ものです。

絵巻物の画面の下に大きい付箋のように、紙をのりで貼り継いで、
欧米の船を丁寧に描いている部分もあって、
美しい1巻の絵巻を描こうという気持ちよりも
この新しい都市横浜の珍しいさまざまな風物を
ありのままに再現しようとしたのでは?
とも思えてきます。
そして、それが歴史的資料としての価値を高くしているような絵巻物です。

この珍しい絵巻物ですが、これも1ヶ月限定展示(2週間で絵巻のなかの場面を替えます)
2月23日(日)までの展示となりますので
どうぞお見逃しなく!

(吉)

by tohatsu | 2013-12-23 17:11 | お知らせ  

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