兄弟
はい、こんにちは。風邪が猛威をふるっていますね。私も昨日は一日家で寝ていました。
寝床の中で、風邪をネタに次のブログを書こうと企んでいたら、
あっけなく先を越されてしまっていた azul です。
病み上がりの今日は少し古いネタで。
昨年、京都に行ったときの話です。
この建物、もとは京都中央電話局だった建物で、大正15年に建てられたものです。
写真のとおり、近年、新風館という商業施設として生まれ変わりました。
私たちの建物も、もともと横浜中央電話局。
なので、京都の新風館は、いわば私たちの兄弟みたいなものです。
どちらの建物にも共通しているのは、外観を覆っているタイル。
新風館のアーチ窓の下の部分は、タイルの貼り方が場所によって少しずつ違っていて、
外壁の印象が単調にならないような工夫がされています。
私たちの建物(昭和4年竣工)も、外壁はチョコレート色のタイルで覆われていますが、
全面的にタイルを貼るのではなく、要所要所で平行な石の帯を挿入することで、
視覚的に外観をひきしめ、色彩の点からもアクセントを加えています。
どちらも一見、地味で平板な建物なのですが、じつは細部まで丁寧に設計されており、
意識的に装飾を抑えながらも、でも装飾的な要素を捨てきれない、
当時の建築家たちの感覚がうかがえて面白いところです。
さて、この新風館、建物を抜けて中庭に入るとガラッと雰囲気が変わります。
もともとL字型だった建物に新しく増築して、ロの字型になっているのですが、
各フロアの廊下は中庭側にぐるっと巡らされていて、ここから各店舗に入るようになっています。
つまり、ここを訪れる人は必ず中庭を通ることになるわけです。
中庭は回廊のどの場所からも見下ろせて、さながらあらゆる視線が集まるステージといったところ。
中庭を行き来する人々は、賑わいを演出する演者とでも言えるでしょうか。
表通りの街並みは乱さず、一歩中に入ると開放的な空間が広がる。
「都市のなかの都市」を感じさせるこのコンバージョン(用途変更)の手法は、
都市型建築にふさわしいものだと思います。
私が訪れたのは平日のお昼時でしたが、多くの人で賑わっていました。
近くにお勤めの方にとっては、きっといいランチスポットなのでしょう。
元電話局の建物が賑わっているのを見ると、なんだか身内のように思えてきて、
勝手に幸せな気分になって帰ってきたのでした。
(azul)
by tohatsu | 2009-02-05 18:05 | お出かけ