75年前の日米野球

日本の優勝で幕を閉じたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。
決勝の日韓戦も歴史に残る名勝負となりましたが、
準決勝で野球の母国・アメリカを下したことも、
野球における両国の関係を考えると歴史的勝利と言えるのかもしれません。

今をさかのぼること75年前の昭和9年(1934)11月。
ベーブ・ルースら全米野球団が来日。
「(アメリカ野球の)凄えところを紹介しやう」と
全日本チームと日本各地で試合をおこなったのです。

選手15名に家族・関係者を乗せたエンプレス・オブ・ジャパン号が
暴風雨の横浜についたのは11月2日のこと。
その日の様子を『横浜貿易新報』は生き生きと伝えています。

 検疫が済むとサルンでサイン攻めだ
 『サンキユー』とこちらで云ふと
 『ドイタシマシテ』といやこいつは日本語で爆笑の渦が湧く。
 (中略)
 ドモアリガト、ドイタシマシテ……と日本語を連発する。
 これはこんどで三度目の来朝でこの方の先輩オドール君が、
 先生になつて船中に教へ込んだもの。
 カメラに収まつてからルース『モイデスカ』と
 見事に真似て大笑ひ。この父さん本塁打王なかなか以て無邪気

アメリカ軍の人気者はなんといってもベーブ・ルース。
愛嬌のあった人柄が記事からもうかがえます。

一行はまず東京に向かい神宮球場で日本側と対戦していますが、
18日に再び横浜に戻り、横浜公園球場でも全日本軍と試合をおこなっています。

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横浜球場のベーブ・ルース(当館所蔵『横浜グラフ』より)

11月18日午後2時プレイ・ボールのこの試合、
結果は21-4で日本が大敗を喫しました。
3番ファーストで先発出場したベーブ・ルースは
2本の本塁打を打ちましたが、うち1本は
「中堅後方、スコアボールドを越えて消えてしまつた大本塁打」
で存在感を示しました。

翌日の新聞は「本塁打の雨に『凄えなあ』の繰言」と題して
ルースの活躍を伝え、
「教へられること」として米国野球の
技術の高さを称賛しています。

戦争をはさみ75年の歳月が流れ、
一昨日の米国戦は投打ともに日本が圧倒、
見ていて負ける気がしませんでした。
米国野球を長らく仰ぎ見ていた日本にとって、
これはたしかに歴史的な勝利でもあったのです。

(吉)
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by tohatsu | 2009-03-25 13:38 | 調査余話 | Trackback | Comments(0)  

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